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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)3796号 判決 1953年7月17日

主文

原判決を破棄する。

被告人を罰金千円に処する。

右罰金を完納することができないときは金百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

第一審、第二審及び当審の訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人双川喜文の上告趣意について

第一点

原判決がその主文において、被告人を罰金二千円に処しながら、その理由において、被告人を罰金千円に処する旨を判示していることは、所論のとおりである。この点において、原判決は主文と理由との間にくいちがいがあり、右法令違反は判決に影響を及ぼすべきもので、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められるから論旨は理由がある。

第二点

訴訟法違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって刑訴四一一条一号により原判決を破棄し、訴訟記録並びに第一審裁判所において取り調べた証拠によって、直ちに判決をすることができるものと認められるので同四一三条但書に従い更に判決をすることとし、原判決の確定した事実に法令を適用すると、被告人の所為は、刑法二〇四条、罰金等臨時措置法二条一項三条一項に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、その金額の範囲内で被告人を罰金千円に処し、右罰金不完納の場合の換刑処分について刑法一八条を、訴訟費用の負担について刑訴一八一条一項を適用して主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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